石黒 不二代 氏
ネットイヤーグループ株式会社
代表取締役社長 兼 CEO
目を丸くするような大胆な予測に出会ったのでご紹介したい。イギリスで2009年にはネット広告費がTV広告費を超えるというものだ。
その理由は、ネット広告が今年30%伸びる一方でTV広告の伸びは1%程度に留まるからということ。さらに、ネット広告がTV広告を越えるという脅威がスウェーデンではすでに今年起こるという。この予測をしたのは、昨年、デジタルマーケティング会社 24/7 Real Mediaを買収したことでも有名な国際的な大手広告グループWPPGroup傘下のメディアエージェンシーGroupMである。
私たちネットマーケティングをしているものにとって、今年は米国のインターネット広告費がラジオ広告費を抜く(検索連動型を含めればすでにネット広告はラジオ広告を上回っている)とか、世界のネット広告のシェアは2010年には雑誌広告を超えるという予測はすでに聞きなれているものの、今にもTVを抜かんとすると言われるとその加速度のかかり具合に驚くのである。
しかしながら、一方で、米国5大ネットワークのひとつNBCが視聴率低下の責任をとって広告主に平均50万ドルを返金していると聞けば、この予測もリアリティーを帯びてくる。アメリカのTVスポット枠は年間を通してシーズン前に販売される習慣であり、この価格は予想視聴率に基づいて決定される。他のネットワークでも、視聴率が足りないスポットの埋め合わせのために他のスポットを充当したりしているらしいが、NBCは深刻で、返金になったということなのだ。
そう、私たちマーケッターは、予測の加速ともいえる現象をもっとまじめにとらえたほうがいいのではないかと思うようになった。なぜなら、私たち(消費者)の行動様式は年々変化している。その様変わりの速度さえ加速しているのだ。
つまり、2年前の予測は2年前の行動様式をもとにはじき出されたものだが、私たちはすでに2年前の私たちではないということなのだ。TVの黄金時代だったころ、父親が家に帰ってからの夕食の家族団らんにはTVは欠かせない。日本国中、幸せの構図はひとつだった。そんな時代が10年も20年も続いた。
インターネットが登場してからの変化は早い。ネットのスピード、デバイスの多様化、ソーシャルメディアの普及、爆発するCGM、それに伴う人々の行動様式の変化。これら要因が相乗効果をもって反応しあうために、そのスピードはすでに乗数的になっている。だからこそ、一年前の行動様式に従って行われた予測に頼らない、先を先を見る企業が勝つような気がしてならない。
(2008/01/25)
■石黒 不二代 氏プロフィール紹介■
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1980年 名古屋大学経済学部卒業。ブラザー工業・外資系企業を経て、スタンフォード大学にてMBA取得。その後、シリコンバレーにてハイテク系コンサルティング会社を設立、日米間の技術移転等に従事。2000年よりネットイヤーグループ代表取締役として、大企業を中心に、事業の本質的な課題を解決するためのインターネット技術を活用した新しいマーケティングを支援し独自のブランドを確立。現在、グループ経営を強化して成長中。
経済産業省 IT経営戦略会議委員としても活躍中。
■ネットイヤーグループ株式会社とは http://www.netyear.net/
■実績一覧 http://www.netyear.net/portfolio/index.html
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