阿部 樹 氏
株式会社フィードフォース取締役
はじめまして。フィードフォースの阿部と申します。私たちの会社は「RSSフィード」という技術の活用にフォーカスして、法人サイトのマーケティング支援を行っている会社です。今日はこの「RSSフィード」が拓く世界をのぞいてみるために、簡単なたとえ話でお話をはじめてみたいと思います。
●「情報だけでできた世界の産業構造」を考えてみる
インターネット上に「情報」だけでできた世界があるとして、その世界にはどんな産業があるでしょうか?また現在のインターネット上のプレーヤーはどのような位置づけになるでしょうか?例えばホームページで情報を発信している会社であれば、「生産者」です。巨大メディアサイトは「百貨店」かもしれませんし、楽天のようなモールであればそれこそ「市場(いちば)」かもしれません。
消費者は「情報≒コンテンツ」を一定の時間という対価を払って消費します。
また、例えば商品の「流通」を担うのは、広告代理店と言えるかもしれません。生産者から受け取った商品を、商店に枠を確保して見栄えよく陳列していったり、といった、生産者自身が行うには費用対効果が悪すぎる作業を代行しています。
●情報だけの世界の「梱包材」であるRSSフィード
さて、こうした世界に現時点ではひとつ欠けているピースがあります。
それは「標準的な梱包材」の存在です。
情報は、多くの場合梱包されていません。また、梱包されている場合でも、例えば自社Webサイトだったり、メールマガジンだったり、広告テキストだったりといった、独自のフォーマットになっており、再利用することが困難です。
そのため情報を、こちらからあちらへ、あちらからこちらへ、と移動させるためには編集したりFTPで素材をやりとりしたり配信システムを構築したり、といった手間が必要になってきます。
現実世界では、野菜のような輸送の行いにくい財を効率的に輸送するために、様々な梱包の仕組みが発達しています。またコンビニのような業態が存在するためには、多頻度小口配送や共同配送というような効率的な配送システムを成立させるための梱包システムが欠かせません。
それと同じように、RSSフィードは情報を梱包することで、あちらのサイトの情報をこちらに表示したり、消費者が自分の手元で様々な条件で情報を表示できるよう伝達したり、といったような多様な環境への情報配送を大幅に効率化することができます。
こうした意味でRSSフィードは、情報の世界における「梱包材」なのです。
では、情報を梱包できるとどんなことができるでしょうか?
●RSSが拓く新しい世界1 Webサイトの外:ポータル、デスクトップ、ほか
梱包することで情報を届けやすくなる世界のひとつは、自社のWebサイトの外の世界です。情報が梱包されていない場合、自社のサイトの外に自社の情報を表示することはなかなか難しいものです(例えば検索エンジンに最適化する、というのはある種こうした試みと言えるかもしれません)。しかし、情報を梱包してあげることで様々な場所でその情報を利用できるようになります。
例えばひとつ、既に普及が始まっている用途があります。iGoogleや、MyYahooなど、情報をパーソナライズして表示できるポータルでの利用がそれです。
こうしたサービスに情報を表示してもらうためには、情報がRSSフィードの形式に梱包されている必要があります。これらのサービスは、大量かつ多様な情報を効率よく表示するために、RSSという標準規格を利用しているからです。
また、RSSで情報を梱包することで、デスクトップにも効率的に情報を届けることができます。Windows VistaやGoogle Desktopなどの最新のデスクトップ環境では、標準的な機能としてRSSで梱包された情報を表示する機能を備えています。Office2007やInternet Explorer7以降では、RSSでパッケージングされた情報であれば、ブラウザからメーラー、スクリーンセーバーまで統合して扱えるようになっています。
また「リーダー」という、パッケージングされた情報を大量に効率的に読むのに適したソフトウェアを利用しているユーザーも数多くいます。
●RSSが拓く新しい世界2 Webサイトの中:コンテンツの利用
梱包した情報の使い道はサイトの外だけではありません。梱包することで情報を効率的に扱えるようになりますので、用途が広がります。
例えば、複数のサイトを扱っているとき、片方のサイトの最新情報を、常にもう片方のサイトに掲載するというようなことをするためには、従来はちょっとした開発が必要でした。
しかし、情報が一定の形式でパッケージングされていることで、Javascriptを使って簡単に相互のサイトの情報を利用できるようになります。
また、Flashからも簡単に読み込めるようになりますので、サイトのトップページのFlash内に最新情報を表示したり、Flashでできたブログパーツに関連情報を表示したり、ということも簡単にできるようになります。
私たちの実際のビジネスにおいては、SEMの費用対効果向上(主にランディングページ最適化)に使ったり、検索エンジン最適化のバックリンク構築に使ったり、衛星サイトの構築に使ったりとさまざまな用途で、RSSでパッケージングした情報を利用したサービスを提供しています。
●RSSが拓く新しい世界3 パソコンの外:モバイル、iPod、カーナビ
パソコンの外でも、情報が梱包されてさえいれば使い道は出てきます。例えば、こうした使い道の例としてまっさきに思い出されるのはケータイ端末です。
例えば書籍「Mobile2.0 ポストWeb2.0時代のケータイビジネス」(http://www.amazon.co.jp/dp/4844322958/)では、ケータイの未来を変える技術のひとつとして疑似プッシュ型情報配信を実現する「RSSフィード」が取り上げられています。
ただし、残念ながらいまのところ、ケータイにおけるこの技術の利用は進んでいないようです。ケータイ用のFlashが、疑似プッシュが実現しにくい仕様になっているのが影響しているようですので、今冬に予定されているといわれるFlash Lite 3.0などの登場によって状況が変わるのを期待しています。
また、これも有名な例ですが、パソコンの外でのRSSフィードの活用としてiPodを活用したポッドキャスティングと呼ばれる情報配信の仕組みがあります。これは通常のリッチコンテンツの配信を、RSSフィードを使ってパッケージングすることで、チャネルのように継続的な情報配信ができるようにしたものです。
最後にもうひとつ、RSSフィードが拓くパソコンの外の世界として現実化しつつある例をご紹介して終わりにしましょう。最後の例はカーナビです。
これもまだ普及ベースでは数多くないですが、日産の純正カーナビ「CARWINGS」では、RSSフィードを読み込ませることで、運転中に付近のクチコミ情報を読み上げたり、目的地情報に基づいて情報を読み上げたりすることができます。こちらも、従来高価な独自形式に準拠する必要があった仕組みを、情報の標準パッケージを用いることで大幅に効率化している例と言えるでしょう。
日産さん自身がブログ(http://blog.nissan-carwings.com/)で積極的に活用事例を展開されていますので、ぜひ見てみてください。
●さいごに:フィードフォースのサービス
私たちフィードフォースでは、こうした多彩な用途を持つRSSフィードという技術に注目し、お客様のWebサイトやメールマガジンなどの既存の情報資産を自由自在にRSSフィードにパッケージングして、お客様がそれをWebマーケティングに活用できるように様々な機能を付加してご提供しています。
「RSS管理の統合プラットフォーム『RSS Suite』」として
既に100社近くのお客様にご利用いただいているのですが、RSSフィードという規格の持つ可能性と比べるとまだまだ出来ることが少ないので、今後ともWebマーケティングに役立つ様々な機能を付加していきたいと考えています。
これからさらに多様化が進むと予想されるWebマーケティングにおいて、RSSフィードをご活用されるご意向をお持ちの企業様は、ぜひ一度ご相談いただければと思います。
(2007/09/12)
■阿部 樹 氏プロフィール紹介■
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株式会社フィードフォース取締役
http://www.feedforce.jp/
株式会社ルートコミュニケーションズにて、Webディレクターとして
大手企業のWeb構築に携わる。同社で新規事業としてRSS事業の
立ち上げに携わり、2006年フィードフォース社設立に伴い同社取締役に。
サービスおよびサポートを担当。
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