番号ポータビリティ前夜のキャリア戦略を解く

ドコモのテーマは「生活ケータイ」

M部長、ようやく長かった梅雨が終わったと思ったら、あっという間にもう8月終わりじゃないですか! まだホテルプールも、海も堪能してないのにー!!
 
それにしちゃぁ、真っ黒すぎやしないかい、J子くん。
 
何言ってるんですか、今はやりのコンガリータさまと呼んでください。これがゴージャスなんです。日焼けは大人の女のシンボルです! 私、リッチなイタリアマダム目指してますから。
そうかねぇ。もう日焼けしてる場合じゃないんじゃないか。曲がり角をけっこう曲がっちゃってるし・・・イタリアマダムは、だいぶ遠いような・・・(ドカッ!!)イタッ!
 
(知らん顔)さて、今月のお題は、番号ポータビリティ(以下、MNP)にむけた3大キャリアの戦略のまとめです。先月のワイヤレスジャパンでも色々プレゼンありましたけど、注目ポイントはなんでしょう?
その前に、むこうずねが痛いんだけど。。。
 
(キッ!)何かわたくしに、文句が。。。
(恐怖)いや、うん。。。その、各社戦略だったね、そうそう。ワイヤレスジャパン基調講演では、アピールポイントが鮮明に出されてたよね。これまでもサービスの発表コメントとか端末の打ち出し方をみれば、それぞれの色はあったけど、トップの口から、まとまって語られたことでより違いが際立ったよね。
 
具体的にはどんな違いですか?
まず、ドコモだけど、昨年から「リアル&リッチ」というコンセプトがあちこちで露出してるのは気づいてるよね。
 
そうですね。リアルは、おサイフケータイなんかに代表される、ケータイを実生活と連動させる取り組みのことで、リッチは、デコメなどのリッチなコンテンツをもっと利用してもらおう、という取り組みですよね。HSDPA(High Speed Downlink Packet Access:現行の「FOMA」の規格である「W-CDMA」のデータ通信を高速化したもの。3.5Gとも言われる。)でインフラを整備していくと同時にiチャネルとかで、コンテンツ利用初心者を取り込むなんて動きが出てますが。
そのとおり、今年のワイヤレスジャパンでは、そのうち特にリアル、つまり生活アシスタントツールの観点から、ケータイの機能・サービスの強化をしていくことがドコモの取り組みとして重点的に語られたね。
 
ふーん。具体的には何なんですか?
やっぱり、まずはおサイフケータイだね。すでにおサイフケータイ機能搭載端末は1300万台販売されていて、これが年度内には1800万台になる予想だから、インフラとしては十分整ってきてるよね。で、サービスなんだけど、モバイルスイカとか電子マネーEdyだけじゃなくて、独自サービスである「iD」への参加企業が、昨年12月発表以来順調に伸びてきていて、さらに、この技術を活用したDCMXが開始された。これで、ドコモとしてはひととおり、この分野でのサービスをそろえた格好になったんだ。
 
モバイルスイカはわかりますけど、EdyやiDやDCMXはどれも同じみたいで、何がなんだかわからないんですけど。。。
うーん、君のケータイってP902iでおサイフケータイ使えたよね??
 
えへっ、なんだか面倒な気がして、使ってません。。。
いかんなぁ、モバイル部メンバーがそれでは。
 
だって、お財布持ってるし。。。別にケータイで払わなくったって。。。
簡単に言うと、Edyはプリペイド(前払い)。契約したら、どこかでお金をチャージしてから使うタイプだね。これはビットワレット株式会社が提供しているサービスで3キャリア共通で、Edy端末がある店舗で使える。これに対して、iDは、ポストペイ(後払い)、ドコモだけが提供するタイプでクレジット会社と提携して、使った分だけ、あとからクレジット会社から請求が来る。DCMXは同じポストペイだけど、ユーザーはクレジット会社と契約するのではなく、ドコモと契約して、使った分はドコモから請求されるんだね。
なるほど。プリペイドかポストペイか。共通サービスかドコモ独自か。クレジット会社からの請求かドコモからの請求か、どれか選べってことですね。個人的にはどれでも大して変わんないなぁ。
でも、プリペイドだと、いちいちチャージしなきゃいけないから面倒だよね。それに、社会人だったらあんまり変わらないかもしれないけれど、クレジットカードは未成年とか会社員じゃない人は契約が面倒なんだよね。でもDCMX miniだと、未成年でも簡単な審査で1万円までは利用が可能になって、しかもケータイ料金とあわせて支払いができるんだ。ドコモショップやコンビニでの支払いもOKなんだね。
 
ケータイ・コアユーザーにはぴったりですね。
DCMXは20万円までOKで、こちらは口座引き落としが必須だから、社会人でおサイフケータイをポストペイでさらに便利にしたい人むけ、miniはハードルを下げて手軽にはじめられるようにしてM1F1層むけということだ。「生活ケータイ」を目指すドコモならではのサービス展開だよね。
 
M1F1層の取り込みができれば、利用が急速に拡大しそうですよね。
そうだね。ドコモの試算によると、国内の3,000円以下の小額決済市場は57兆円に達するそうで、ケータイ・コアユーザーを通じてこれが取り込めれば大きいよね。DCMXは4月末のサービス開始からすでに約30万件の契約を獲得してるそうだから、かなり期待できるんじゃないかな。
 
57兆円ってすごいですね。ドコモはどういう立ち位置になるんでしょうか?
クレジットカード業界用語でいうと、ドコモはiDでは「ブランド」、DCMXは「イシュア」の立場にあたり、それぞれの役割は以下のようになってるんだ(図1)。で、クレジットカード事業の収益モデルは、加盟店から支払われた手数料を、ブランド、イシュア、アクワイアラの3者で分配するんだけど、通常2.5%くらいの手数料のうち、イシュアが1.5%、ブランドが0.2%くらいの取り分になってるんだね。
 

【図1】クレジットカード業界のプレーヤーと役割

プレーヤー 役割
ブランド ルールの策定、プラットフォームの提供 iD、VISA、マスターなど
イシュア カード発行業務、会員募集 三井住友カード、クレディセゾン、日本信販など
アクワイアラ 加盟店業務、募集、管理 三井住友カードなど
ITmediaビジネスモバイル 2005年11月8日 「ドコモの『iD』―各社の役割とメリット」より
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/mobile/articles/0511/08/news079.html
へぇ、じゃぁ、もし57兆円ぜーんぶDCMXだったら、8500億円!!
ま、そこまで浸透するのはまだまだ先だし、全部ってことはないだろうけど、かなりの収益源になることは間違いないね。iD発表の時ドコモは、1000億を目指す、って言っていたけどね。
 
それにしても、すごいですね。ところで、それ以外にも生活アシスタント構想ってあるんですか?
具体的なサービスはこれからだけど、タワーレコードと業務提携してiDが全店舗で利用ができるようになったのと、楽天と提携して、オークション事業に乗り出すことかな。これ以外にも生活関連分野では、他社との提携も含めて積極的に展開すると言ってるね。
 
報道発表なんかを見ると、「携帯電話がさらに生活に密着した『生活ケータイ』となることを目指してまいります」ってありますね。今までのiモード=コンテンツ利用という領域を広げていこうという感じがします。ケータイを軸にしながらもまだまだ開拓できる市場っていうのがあるってことなんですね。
そうだね。それにケータイが生活ツールになれば、番号ポータビリティ対策として、これほど強いものはないよね。
 
そっか、チャージしちゃったらケータイ変えられないし、iDもDCMXもドコモのオリジナルブランドだし。最後の仕上げのDCMXをこの時期ぶつけてくるってところが戦略ですね。
おサイフケータイへの取り組みを起爆剤にして、ケータイが生活ツールになってドコモの牙城がゆるぎないものになっていくのか。要注目だね。
 


>> この記事のトラックバックURL:
http://www.richcontent.jp/jstream/richtb.cgi/155