アドビ システムズがFMS3.5を新たにリリースし、1月に行われたAdobeMAXでもFMS3.5で新たに実装された機能などの紹介デモセッションがありました。FMS3.5の機能の中でも最も特徴的な機能であるダイナミックストリーミング機能についてご紹介します。
●高画質・広帯域コンテンツをシームレスに配信するダイナミックストリーミング機能
動画コンテンツの配信主体者が、より高画質でより高品質なものをWebサイト等で配信しようと思うと、動画コンテンツを広帯域にする必要があります。
これまでのFMS3.0を含むFlash Videoのストリーミング技術では、動画コンテンツの品質を重視して広帯域で配信すると、視聴環境によっては見られないユーザーが増えてしまうという相関関係があり、リーチ面が優先されるプロモーション・広告宣伝などの場面では、どうしても動画コンテンツの品質面をある程度犠牲にせざるを得ませんでした。
具体的な例でいうと、ある動画コンテンツを帯域3MbpsでエンコードしてWebサイトに公開した場合、実効帯域3Mbspが確保されているユーザーでないとスムースに動画を視聴できないので、リーチを高めるために意図的に1Mbpsやそれ以下の帯域でエンコードするケースなどがあげられます。
ところがFMS3.5では、上記のような課題を解決するための技術が実装されました。それが"ダイナミックストリーミング機能"です。
ダイナミックストリーミング機能とは、あらかじめ同じ動画コンテンツを複数帯域分エンコードしてFMS3.5上に展開しておき、ユーザーから視聴のリクエストがあった場合に、ユーザー側の視聴環境をサーバー側で判断し、スムースに視聴できる最適な帯域の動画コンテンツを自動配信するという帯域判別を行う機能のことです。
注目すべきは、ユーザーがアクセスした瞬間のみ判断を実行するのではなく、ユーザーが動画コンテンツを視聴している間、数秒おきにその判断が繰り返し実行される点です。
ユーザー側のネットワーク帯域は、瞬間、瞬間で大きく変動します。動画コンテンツを視聴し始めたときは好調でも、途中で帯域が下がってしまったり、またその逆の現象なども日常的に発生します。
そういった不安定な状態においても、サーバー側が数秒おきに判断を実行しユーザーの視聴環境に最適な動画ファイルへの切り替えを行いますので、常に最適な帯域の動画コンテンツをユーザーに見せることができるのです。
また、動画ファイルの切り替えは、音声や映像のコマ切れ、バッファリングなどが一切発生せず、完全に同期した形で行われますので、動画コンテンツを視聴している途中であっても動画ファイルが切り替わったことにユーザーが気付かないぐらいスムースです。
これまで、アクセスした時のみ帯域を判別して動画コンテンツを出し分けることはできましたが、動画コンテンツの視聴中たえず帯域判別が行われ、かつタイムリーに切り替えが可能なのはFMS3.5ならではの特徴といえます。
これにより、配信主体者はユーザーの環境を過度に意識することなく、プロモーション・広告宣伝活動で高画質・広帯域な動画コンテンツを活用することができますし、ユーザーもWebサイト上で帯域の異なる複数の動画コンテンツの中から、自分の環境に最適な帯域のものを選ぶといった煩わしさから解放されます。
特にHDの動画コンテンツなど、より広帯域でリッチなコンテンツを配信する際に効果を発揮するといえるでしょう。