![]() 「我々のビジネスは物販とは異なり、『未来を期待して買う』というビジネスですから、不確定要素が非常に大きいものなのです。ですから、なるべく正確に事実を伝えなければなりません」
エルセーヌ・グループ
株式会社エヌ・エス商事が経営し、株式会社エルエフカンパニーが管理・運営するエステティックサロン。全国に103店舗を構えるほか、自社ブランドの化粧品・健康食品などの商品も展開している。エステコンテストを国内で初めて実施したほか、様々な美容・健康法を国内でいちはやく取り入れたブームの「生みの親」として知られている |
現在は空前の「美容/健康ブーム」といえる。テレビ番組で美容法・健康法に関して取り上げられない日はない程であり、女性誌においても、次々に新しいダイエット法/健康法が紹介されている。これらの中心となるエステ業界は、今や2,300億円(日本エステティック業協会による)という巨大な産業となっている。
そのエステ業界を20年以上に渡ってリードしてきているのが、常に長期的な視点で美と健康に取り組み、「お客様第一主義」を掲げている大手のエルセーヌ・グループである。日本で初めてエステティックのコンテストを開催したのも、「半身浴健康法」をいち早く世に知らしめたのも、実は同グループであることはあまり知られていない事実だ。
エルセーヌは1989年、「美しく健康的にやせる」ことをテーマとした国内初のエステティックコンテスト「テラクイーンコンテスト」を開催、以来、毎年のイベントとして定着させてきた。同グループが前例のないコンテストに踏み切ったのは、それがグループのサービスを最も効果的に伝える手段だったからに他ならない。同グループは以下のように説明する。
「我々のビジネスは物販とは異なり、『未来を期待して買う』というビジネスですから、不確定要素が非常に大きいものなのです。ですから、なるべく正確に事実を伝えなければなりません。そのため、実際の体験をした人達を見ていただこうということで、1989年にテラクイーンコンテストを始めたのです。」
コンテストであれば、応募者の生の姿や声をダイレクトに伝えることができる。応募者が自らの言葉で経験を語り、それが観客の共感を呼ぶ。さらに、明らかにされる過去の映像により、成果は客観的事実として受け入れられる。自社のサービスに自信がなければできないことではあるが、優秀な営業マンのセールストーク以上に雄弁なイベントといえるかもしれない。
ストリーミング配信でさらに多くの潜在顧客に訴求しかしながら、コンテスト会場に当日、足を運べる人の数は限定されている。ほかの潜在顧客に対してこのコンテストを体験してもらうためにはどうしたらよいか? たとえば雑誌などの紙媒体でレポートするという方法もあるだろう。だが、写真と文章は必ずしも「生の声」を伝える最適なメディアとは言えない。さらに「写真を加工しているのでは?」と疑う向きが現れないとも限らない。最もリアルに客観的事実を伝えるメディアといえば、やはり音声も含めた映像ということになるだろう。 そこで同グループは2005年5月、さらに多くの潜在顧客にアプローチするため、「第17回テラクイーンコンテスト」のスペシャルサイトを立ち上げ、初めてインターネットでのストリーミング配信(オンデマンド)を導入した。 これまでもエステユーザーの映像記録に熱心に取り組み、社内教育や店舗でのビデオによる情報発信において活用してきたが、万人に開放されているWebサイトを扱うことで、さらに多くの潜在顧客に訴求できると考えたのだ。 ただし、この場合でも「正しい情報を伝える」ことを重視しており、その手段として映像が活用されていることを忘れてはならない。 「雑誌やテレビなどは、ダイエットのほんの一部分をとらえて説明することが多いので、間違った情報を伝えてしまうということがあります。正しいことを伝えようとすれば、雑誌であれば何十ページも必要になってしまうものですが、誌面には限りがあります。ですが、私達は正しい情報をしっかりと伝えなければなりません。自社のWebサイト上であればそれができるわけです。Webによって、我々は正しい情報を正確に伝えるためのメディアを持つことができるのです。」 |
アクセス数/来店者増、次なる展開を検討中ブロードバンドの普及と健康/美容ブームに比例し、この2、3年、エルセーヌ・グループのWebサイトへのアクセス数は徐々に増え続けてきていた。そして、今回のコンテストでのストリーミング配信により、その後のアクセス数は、さらなる増加を示し、それに比例するかのように、現在、来店者数も着実に増えているという。 「どれくらいのアクセスがあるのか、当初は不安でしたが、『やってよかった』というのが正直な感想です。多くの女性の皆さんからも好意的な反応をいただきました。今は映像を使った次の展開を考えているところです。たとえばユーザー同士の本音での会話、前年のコンテスト受賞者の今現在の状況などを配信すれば、違った意味で関心・感動があるかもしれませんね。一般の人達が知りたいのは『痩せた』ということだけではなく、『痩せたことによってどのように変わったか』『その後はどうなったのか』ということなのです。」 今後、エルセーヌ・グループのサイトにさらに美しく輝く「その後の受賞者」が映し出されれば、それは最も効果的な現在進行形の広告となり得る。同グループは「成果」を映像化することで無形の商品の良さを強調し、さらにストリーミング配信することでさらに多くの潜在顧客にアプローチすることに成功した。 このような方法論は、あらゆるサービスに応用できるだろう。対象が物品でなくとも、映像が持つ客観性とインパクトを活かす方法はいくらでも存在するのだ。【文中敬称略】 |