モバイル、PCを活用したブランド力を高めるCM配信
シンガポール航空様の場合

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CM映像キャプチャ画像

「存在感ある自社のイメージを作り上げるために映像で表現する。その点に強い働きかけをするのが、戦略的なCMや広告だと思います」
シンガポール航空では、旅の楽しさ、快適さを実現する同社の「おもてなしの心」を、臨場感たっぷりに映像で伝え、多くのエンドユーザーの支持を得た。

シンガポール航空Webサイト
シンガポール航空
35ケ国80都市以上へのネットワークを持つ世界のリーディング・エアラインのひとつ。 サービスの革新を続けるシンガポール航空、現在の機内サービスとして定着しているフリードリンクやヘッドフォン無料貸し出しは、同社が他の航空会社に先駆けて行ったサービスとしても知られている

サービスという無形の商品をいかに印象深く伝えるか

ビジネスに、プライベートにいまやメジャーな交通手段である飛行機だが、シンガポール航空では、” A Great Way to Fly“(「おもてなしの心」)をコアバリューに、フライトを通じて旅の楽しさや快適さを提供している。

旅の楽しさ、快適さとは、例えば、機内でのフライトアテンダントのきめ細かな心配りであったり、機内設備や路線ネットワークの充実などであるが、サービスとは無形のものだけにその差別化のポイントを明確にエンドユーザーに理解してもらうことは難しい。

シンガポール航空では、自社の強みをエンドユーザーに確実に伝えるため、広告のメッセージ内容をいくつかの領域にわけて整理し、各メディアの特長を活かした情報発信活動を行っている。

例えば、Strategic(戦略的)と呼ばれる広告は、企業広告的なメッセージを伝えるもの。同社の「優雅さ」「快適さ」を強化する内容を情報として発信する。また、Tactical(戦術的)と呼ばれるものは、キャンペーンの内容を前面に打ち出し、商品のメッセージ性が強いものを情報として発信している。

Strategicの領域においては、映像の持つ情報力に着目し、これまでもテレビCMを効果的に活用してきたが、近年ではブロードバンド化の普及を背景に、2004年12月よりインターネット上でのCM映像の配信を開始した。

モバイル、PCで押し付けないCM活動を展開

インターネットでの映像配信では、キャンペーン情報と連動させることで、とかくスペックの伝達に終始しがちなキャンペーン活動に、映像によって同社の「優雅さ」「おもてなしの心」を加え情報のメリハリをつけた。CM映像は、PC、モバイル共通の内容で、ゆったりとした神秘的な映像に音楽が添えられ、自社や商品に関する情報を排した表現とした。

映像の中身だけでなく、配信方法にも工夫を凝らした。PCサイトでは、日本で展開されている様々なキャンペーンを紹介するキャンペーントップページにアクセスすると、オープニング的に30秒の最新CMが1回だけ再生される。その画面サイズもあえて小さなものにし、CMに興味のある人には、CMギャラリーで大きめの画面サイズを視聴できるようにした。

またモバイル配信では、株式会社MLJの運営する「アーティスト公式サウンド」に同映像を提供し、着うた®、着モーション、着ムービーとして3ヶ月間ダウンロード配信が実施された。

シンガポール航空では、上記のような「押し付けないCM配信」を展開した意図をこう語る。

「お客様にとっては、ビジネスクラスの幅が何センチであるかとか何席あるかとかは、実はとてもわかりにくい情報です。スペックの向上をうたうことも大切ですが、頭のなかに残る存在感ある自社イメージを作り上げることで、広告活動全体がもっともっと効果を増してくる。その点に強い働きかけをするのが、戦略的なCMや広告だと思いますし、そのために、今回はインターネットでの配信に踏み切りました」

その具体的回答が、さまざまなメディアを活用し、できるだけ多くの露出機会を創出することであり、露出機会の拡大をコンスタントに維持する仕組みづくりであったのだろう。インターネットでのCM映像配信は、活字メディアやテレビと比較し掲載の柔軟性が高く、コスト的にも抑えられることも同社にとって大きな魅力であると語っている。

予想の4倍のモバイルDL、オンライン予約も順調に増加

今回のCM映像配信への反響は、シンガポール航空の予想をはるかに超えるものであった。モバイル映像のダウンロード数は、当初予想の4倍近いものとなり、着うた®、着モーション、着ムービーを利用する新しい層との大きな接点を生じることとなった。

また、PCサイトのリピート率もコンスタントに増えており、オンライン航空券購入者を見てみると、サイト訪問のリピート率と比例するかのように新規購入者数も順調に増加しているという。

「PC、モバイルでのCM映像配信を行うことにより、各メディアの特長に応じ、押し付けることなくエンドユーザーの関心、リズムにあわせた情報提供が可能となり、エンドユーザーとの距離をより近づけることができたと思っています」

情報の受け手(エンドユーザー)の欲する情報は何か、その見られ方にまで細かく配慮したシンガポール航空の今回の事例は、インターネットでのCM配信の好例と言えるだろう。

【文中敬称略】
(2005/05/24)

(取材・文 / 久保田直美)



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