![]() ストリーミングならば、修理に必要な技術情報がいつでも何度でも販売店に提供できる。情報発信の充実は、アフターサービスの一層の向上、さらには売上拡大へと繋がっていく。
セイコーウオッチ株式会社
創業から123年、国内のみならずアジア、南米など世界各地でも高品質な時計製品のメーカーとして信頼されているセイコーウオッチ。基幹ブランド「SEIKO」の理念として「SEIKO “Innovation & Refinement”2004 -革新と洗練―」を挙げ、伝統により培われた確かな技能と革新的技術を取り入れた製品展開でその存在を不動のものとしている
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セイコーウオッチにとって、最終的な顧客は時計を購入する消費者だが、企業と消費者との間には、時計販売店というもう一つの顧客が存在し、セイコーウオッチから様々な支援が行われている。販売店は、修理などのアフターサービスも請け負っているため、支援の主な内容は、正確で適切な技術情報の提供だ。
具体的には、修理の手順から、部品、工具の情報など、30年近くにわたって膨大な技術情報を提供してきた。媒体として紙のほか、マイクロフィルム・CD-ROMなどを取り入れ、さらに、日本全国を回っての技術講習会も行っている。
時計に関する消費者アンケートによると、時計購入の基準において、一度でも時計修理を出したことのある消費者は「修理などアフターサービスがしっかりしている会社のものを選ぶ」と回答することが多い。つまり、消費者は「いざというときのサービス」に満足できれば、企業への信頼を深め、製品の熱心な利用者となってくれる可能性が非常に高い。
消費者の満足度を高めるためには、消費者と直接対面する販売店とのコミュニケーションの充実は必須である。そのためにも「もう一方の顧客(=販売店)満足度も常に右肩上がりでなくてはならない」というポリシーが、セイコーウオッチには掲げられていた。
ウェブに求めたのは「わかりやすさ」と「使いやすさ」と「情報の量」時計の技術情報は実に詳細かつ膨大である。そのためセイコーウオッチでは、これまでの紙を中心とした情報発信に、ある種の限界を感じていた。なぜなら、紙情報には、「郵送のため情報提供に時間とコストがかかる」、「検索性が低い」、「新製品修理のポイントなど、微妙な操作を伝えにくい」、「販売店にファイリングなどの手間を強いる」、という点が障壁となったからである。 時計業界の技術進歩、デザイン革新は日々行われており、それに伴い修理方法も変化する。情報発信のリアルタイム性と頻度の高い情報発信は、欠かせない。 そこで新たな情報発信メディアとして2000年に立ち上げたのが、販売店支援サイト「ISS CLUB( The Interface between the Seiko Service System and Customer Satisfaction )」であった。ウェブの活用は、前述の既存の情報発信で課題となっていた点をクリアしていった。そのコンセプトは、販売店にとって「わかりやすく」「使いやすい」ことであった。 「そして、何よりも発信情報の量です。販売店とのコミュニケーションとは、待っているだけでは決して得られず、こちらから能動的に発信してはじめて、反応が要望として、ぱーっと出てくるものなのです」 有益な情報を大量に、かつ効率よくプッシュしていくと、それに対する反応という形で販売店も声をあげやすい。その声とは、つまり、販売店の先にいる消費者のニーズでもあり、次の製品購入へとつなげるヒントとも言えるのである。「ISS CLUB」の立ち上げにより、セイコーウオッチには、販売店側の要望や感想が如実にあげられるようになった。 |
技術情報をストリーミング映像で提供し、アフターサービスの向上を目指すさて、販売店支援の中枢となった「ISS CLUB」だが、販売店支援策の課題であった「わかりやすさ」という点で、セイコーウオッチではストリーミングに着目した。これまで、新製品発表のたびに技術講習会を行ってきたが、手間がかかりながらも実施してきたのは、実際に製品を修理する手順を目で確認することが、技術の正しい習得に欠かせなかったからだ。 しかし今夏からは、バンドアジャストなど基本的な修理技術をストリーミングで配信し始めた。会場での講習会では、対面で細かな技術指導が受けられるものの、参加者が帰ってきてから再度その手順を見たくとも手段がない。しかし、ストリーミングなら、講習会場まで時間と交通費をかけなくとも、販売店は必要に応じて、いつでも、何度でも修理の手順やポイントを確認することができる。 また、熟練からアルバイトまで販売店の誰もがセイコーウオッチからの情報を直に受けることができる。それにより、販売店側の情報共有にかける手間を省き、情報の「揺らぎ」を減らすことが可能となった。ストリーミングを使った豊富な情報を活用すれば、販売店支援策において、
といった効果を得られる。ゆえに消費者へのアフターサービスが充実していき、自社製品の売上拡大へと繋げていくことができる、とセイコーウオッチでは考えたのだ。 |
映像コンテンツの充実で、今後一層の販売店支援を計画もともと、会場講習会のほかにも、講習ビデオなどの要望も多かっただけに、ストリーミングによる情報提供は、販売店からの確実な反応を得ることとなった。ストリーミング閲覧の手順に対する問い合わせも多数あり、販売店のストリーミングに対する関心はとても高い。アクセスログによると、ストリーミングを導入したサイト公開後のアクセス数は、導入前のサイトの10倍にもなり、サイトの平均滞在時間は倍近くにアップした。 セイコーウオッチでは、今後、より専門的な技術情報も含めバラエティに富んだ映像情報を提供することで、販売店の技術レベルのさらなる向上寄与に繋げていきたいと考えている。こうしたサイト作りは時計メーカーでは先駆的と言える。 そして、ゆくゆくは販売店支援をウェブへ全面移行させ、ペーパーレス化を行い、効率化とコストダウンを同時に実現したいというのがセイコーウオッチの計画だ。もちろん、過渡期である現在、性急に旧来の媒体を捨てることはできないが、ウェブの効果的活用は販売店支援にとって必須である、という確信が生まれているのだ。 「アフターサービスの質が向上することで、消費者は製品への信頼を高める」--販売店支援とは、販売店を対象とする枠にとどまらない、実は販促活動とも言える役割を担っているのだ。 販売支援コンテンツや海外向けの多言語コンテンツの導入、情報検索と部品発注を同時に行えるサイト作りなど、様々な計画が練られている。豊富なコンテンツはさらなる顧客の満足を形作ることになるが、その中核は「わかりやすく 使いやすい」ストリーミングだ。【文中敬称略】 |